フォッケウルフ Ta183
タミヤ/AMTech 1/48

 
コクピットはシートベルトとリフレクターを追加したのみ 主脚にはブレーキパイプを追加

  

<コメント> 

  WW2末期のドイツ試作・計画機群は、その先進性とラディカルさで航空機マニアの琴線を揺さぶってくれます。
 まあ、中にはどうにもこうにもなのもありますが、実戦に出ていたらどういう活躍をしてくれたかと期待させてくれる機体が
 数多いのは事実。その中で、実戦での活躍が観たかった機体の最右翼候補なのが、このTa183です。

  元々はB-29迎撃から計画が始まっているのですが、もし実戦参加していたら、メッサーシュミットのジェット機と並んで、
 ドイツ空軍の主力戦闘機となっただろうと思わせます。(Fw190とMe109の様に) 
 機体の形態は、強い後退翼や寸詰まりの胴体に見られるようにかなりラディカルですが、木製の主翼は上下対称の翼断面で
 左右に互換性があったり、エルロンとラダーが同じものだったりと、部品の供給の合理化が追求されている点など、
 「軍馬」を作るというクルト・タンクの思想は、この機体にも生きていると思います。

 Mig-15がこの機体の設計図をベースに開発されたという伝説は今では否定されていますが、戦後の第2世代ジェット機に
 与えた影響の大きさは、否定することは出来ないと思います。

<キットについて>

  使用したキットは、タミヤが10年以上前に袋キットとして限定発売した時の物。現在では、ちゃんとしたパッケージ版が発売されて
 います。タミヤが、イタレリ製品以外で他社キットを自社ブランドで発売する様になった、最初のキットだった思います。
  キットの出来ですが、流石にタミヤが自社ブランドで出すだけあって良好です。実機が特徴的なのもありますが、外形形状の
 雰囲気は非常に良いと思います。AMtechとしては初のキットだそうですが、イメージの掴み方は上手いですね。
  ただ、やはり処女作だけあって合わせ込みが不足しており、ピタリと合うところと微妙に合わないところが混在しています。
 いずれもパテを使う程では無いのですが、主翼上下は微妙に外形が合わないので、タップリ接着剤をつけて前縁側でヤスリで
 削り込みました。胴体との合わせは、右は良好なのですが左は紙1枚分合わない感じです。胴体左右の合わせは良好ですが、
 組み込むコクピットの位置決めが今一つしっかりしません。幸いインテーク周りは別部品なので、接着剤が生乾きの内に、前から
 ピンセットを使って調整してやる必要があります。主脚はちょっとモールドが寂しいので、ブレーキパイプを這わせてやりました。
 主脚扉はイモ着けで、開度が決まらないので、先にアクチュエータを取り付けで、それに合わせてやる必要があります。

  今回は、キットにアフターパーツのクイックブーストのインテークと排気ノズルを使用しました。
 インテークの方は、外形はそのまま合うのですが、中でコクピットともろに干渉します。コクピットの前側をギリギリまで削って
 合わせ込む必要がありますが、今回はコクピットを接着した後に気づいたので、泣く泣くインテーク側を削り開いた穴を塞ぐ羽目に
 なりました。覗き込むと塞いだ部分が丸見えで、ちょっとガックリ。(T_T)
 排気ノズルの方は干渉は無いのですが、外形がプラの肉厚分小さいです。仕方ないので垂直尾翼側で合わせて、胴体下面から
 ノズルにかけて黒い瞬着を山盛りし、リューターとヤスリでガリガリ削って外形形状を合わせてやりました。
 もし、クイックブーストのパーツをお持ちであれば、使用する際には注意して下さい。

 翼下にぶら下げるルールシュタール X-4 空対空ミサイルは、4発下げると煩くなるだろうと2発のみとしました。形状的には
 問題無いと思いますが、翼と翼の間の作業し難いところに少々隙間が出来ます。ここだけはパテを摺り込んで埋めてやる必要が
 あります。
  #そう言って今回はやってないんですけどね。塗装してみたら予想以上に目立つので、失敗でした… ^^;
 一応完成したところで、何かが足りない気がして改めて見てみると、ピトー管とアンテナが無い。このキット、両方共省略されて
 います。ピトー管は、手持ちの削り出しのMe262用を流用して追加。取り付け位置はFw190に倣いました。アンテナ線も同様に
 垂直尾翼からキャノピーへと張ることにしました。この二つ、付けると一気に実機らしさが高まりますね。

  デカールは、多分Fw190A-3のと同じ物が入っていました。実戦に参加していないので、塗装指示図そのままに使っています。
 デカール本体は薄くてニスも少なく糊が強いタミヤクオリティなのですが、マークソフターに対してはかなり敏感でした。デカール
 フィットに含まれている程度でも反応しますので、強いソフターを使うのは危険だと思います。尚、クリア耐性は良好でした。

 塗装は、塗装図の指示がタミヤのあれなので、上面RAL81ブラウンバイオレット/83ダークグリーン・下面無塗装として、上面は
 クレオスのカラー(ダークグリーンは妙に暗いので、イメージ優先でデイトナグリーンとホワイトを10%ずつ混ぜ、明るく緑が
 強くなるように調色)、胴体下面はガイアのジュラルミンを使用しました。翼下面は木製翼なのでどうしようかと考えたのですが、
 強度を出す為に銀ドープくらいはしているだろうと、クレオスの8番シルバーにホワイトを入れたものを塗ったのですが、クリアを
 掛けたらあまり差が無くなってしまいました。もう少しホワイトを入れた方が良かった様です。
 スミ入れは、黒+ブラウンで行い、拭きとる際にウオッシングを兼ねて飛行方向に全体を拭いてやりました。最後にタミヤの
 パステルで銃口と排莢口、排気ノズルまわりを汚してやって終了です。
(実作業時間26時間)

  今回の教訓:アフターパーツを使う際は、干渉確認と合わせ込みを念入りに

01.MAY.11

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